『スティール・ボール・ラン ジョジョの奇妙な冒険』で敵キャラクターを演じたキャスト陣によるリレーインタビュー第2回。今作初の敵スタンド使いとなるブンブーン一家を演じた三人の鼎談を、前後編でお届けする。
前編となる今回は、それぞれが演じるキャラクターの印象や、演じる上で意識したことを中心に話を聞いた。一緒にアフレコをする中で、三人はお互いの芝居をどう見ていたのか?
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▲三人で複数のカットを見比べて、「やっぱり笑っているのがいいですね!」(斉藤)とチョイスしたサムネイル画像。「仲良し家族の一家団欒という感じですね。きっと普段のブンブーン一家はこういう感じなんだろうな」(汐谷)、「仲が良くないと、三人で一緒にレースには出ないもんね!」(中島)と、一家の関係にも想像を膨らませていた
テーマは「家族愛」! 相互に刺激を与え合ったアフレコ現場
――今作への出演が決まった際のお気持ちはいかがでしたか?
斉藤:『ジョジョ』アニメーションシリーズには以前にも出させていただいたことがあるのですが、そのときもなかなかインパクトの強い役どころだったんですよ。もちろん「『ジョジョ』にはインパクトのあるキャラクターしかいない」と言ったらそうなんですけれど、『黄金の風』の教授役以来の久しぶりの出演だったもので、今度はどんな役がくるんだろう……というドキドキ感がありましたね(笑)。今回のベンジャミン・ブンブーンもまた強烈な個性があるキャラクターで、楽しんで演じさせていただきました。
中島:『ジョジョ』アニメーションシリーズのオーディションは以前受けたことがあったのですが、今回の『スティール・ボール・ラン』に関してはオーディションを受けていたわけではなかったので、ある日突然「出演が決まりました」と言われてビックリしました。『ジョジョ』はすごく注目度の高い作品ですし、オーディションではなく指名の形で出演が決まるというのも役者としてとても嬉しいことなので、収録が楽しみでしたね。あと、プライベートでも仲のいい汐谷くんと兄弟役をやれることも、個人的には嬉しかったです。
汐谷:役が決まったときに、「家族になるね」って連絡を取り合ったりしましたよね(笑)。僕もいきなり『ジョジョ』の文字がスケジュールに入ってきたので、「え⁉ 何かの勘違いじゃないの⁉」と驚いたというのが、最初の感想でした。香盤表を見たら「L.A.ブンブーン」というちょっとファニーな名前があって、どんなキャラクターなんだろう?と思って原作を読んでみたところ、めちゃくちゃクレイジーな家族の中でも、かなり頓珍漢なキャラクターで。この役をどういうふうに演じていこう……?と、楽しみと不安が入り混じった気持ちでした(笑)。

――皆さんの『ジョジョ』シリーズとの出会いを教えてください。
斉藤:原作漫画の連載が週刊少年ジャンプで始まったとき、僕はまだ学生で。少年誌の中で異彩を放つ劇画調の絵柄に、当時は正直、「怖そうな作品だな」というイメージを持っていました。あの石仮面が怖かったんですよね……(苦笑)。なので、そのときはあまりちゃんと読んではいなくて。まさか将来、自分が声優として参加するとは思ってもいなかったです。今回、出演するにあたって『スティール・ボール・ラン』を読ませていただいたのですが、サンドマンがかっこいいなと思いました。僕もランニングをするんですけど、自分の脚で馬と競うなんて普通では絶対できないですよ! サンドマンのあの走力は憧れますね。
汐谷:僕も(斉藤)次郎さんと同じく、昔は『ジョジョ』にちょっと怖い印象がありましたね。でも、中学生の頃に『ジョジョ』好きの友達に『スターダストクルセイダース』の漫画を借りて、初めて読んでみて。最初は恐る恐る読み始めたのですが、初めて触れる作風とほかにはない世界観、作品の持つパワーにいつの間にか引き込まれて、気づいたら一気に読み上げていました。「自分がスタンドを手に入れたら…」と想像しながら読んだのを覚えてます。
中島:僕は、アニメで初めて『ジョジョ』に触れた派ですね。アニメ放送が始まった2012年には既に声優として仕事をしていたのですが、『ジョジョ』って当時から業界内でもものすごく注目を集めていたんですよ。「(『ファントムブラッド』に少年A役で出演した)松岡禎丞さんが、音響監督の岩浪美和さんから『世界で一番有名なモブ少年だよ』とプレッシャーをかけられた」といった逸話が各所から聞こえてきたり。だから、自分としては“声優として憧れる作品”という印象を持っていました。以前のシリーズでオーディションを受けたときは、「自分が、あの『ジョジョ』のオーディションを受けられるようになったんだ」という喜びがありましたし、今回、実際に出演できたこともとても嬉しかったです。

――ご自身が演じるキャラクターの印象と、演じる上で意識したいと思ったことを教えてください。
斉藤:ベンジャミンはブンブーン一家のお父さんですが、ちょっと小物感のあるキャラクターという印象が自分の中にはありました。下品でガラが悪くて、何か崇高な目的があるわけではなく、ただお金を得ることだけが目的、という。一方で、能力は強くて、ジョニィとジャイロ、そしてマウンテン・ティムの三人をあと一歩のところまで追い詰めていて。この強さの表現と、小物感とのギャップがうまく出せればいいなという思いで臨んでいました。
中島:息子を演じる立場としては、次郎さんのお芝居を現場で聞きながら、めちゃくちゃハードボイルドでかっこいいな!と思っていました。
汐谷:僕もです! あと、作中だと、スタンド能力を使わないといけないから、ブンブーン一家はそれぞれ物理的に離れたところにいるんですけど、アフレコ現場だと次郎さんがすぐ隣にいるので、「お父さんが隣にいる!」という安心感がありました。
斉藤 嬉しいことを言ってくれるね! でも、ごめんね、当の父親は子どもたちを利用してお金儲けをすることばかり考えていて……(笑)。ブンブーン一家は、お父さんが持っていないものを子どもたちが持っているのが面白いですよね。子どもたちはコウノトリのお母さんに似たのかな?(笑)

――では、アンドレとL.A.についてはいかがですか?
中島:アンドレは、特に地味な退場の仕方をしているのが印象的で(笑)。だからこそ、逆に彼が元気なシーンにすべてを叩き込もう!というつもりで、第3話Aパートはテストテイクから文字通り死ぬ気で臨みました。「“ありがとう”を連呼するところは全部違う言い方をしよう」「首を絞めるところでは、観た人も苦しくなるような声を出したいな」と、いろいろなことを考えてやっているのですが、アンドレは、そういう自分の役者としての欲を全部入れても余りあるぐらい強烈なキャラクターで。それだけ器のでかい役をやることができて、本当に楽しかったです。

汐谷:L.A.は素っ頓狂なセリフが多いのですが、その中で時折、ハッとするようなことを言う場面もあって。普段はのんびりしているけど、実は天才肌なのかなと思っていました。演じる上では、僕の中で「家族愛」をテーマにしようと思っていて。L.A.はお父さんとアンドレ兄さんのことを心から信じているようなセリフが多いので、とにかくその気持ちを意識しながら演じています。ジョニィやジャイロから見たら敵役ではありますが、観た方に「ちょっとかわいそうだな……」と思ってもらえたらいいな、と。アフレコ後にジャイロ役の阿座上洋平さんに「最後、なんだかちょっとL.A.がかわいそうになっちゃった」って言ってもらえて、嬉しかったです。

中島:個人的に、もともと汐谷くんって面白い声質していると思っていたけど、このL.A.の芝居は特に、これまで聞いたことのないものになっていて。この面白いお芝居が早く世に出てほしい!と、アフレコ時から思っていました。
汐谷:ありがとう。アフレコをしたのは去年の10月なので、丸1年待ちましたね(笑)。ただ、僕が全力でL.A.をやれたのはやっぱりアンドレ兄さんのおかげなんですよ。アンドレがインパクトのある登場の仕方をしていて、中島くんがテストのときからそれを本気でやってくれたので、「ここまでやっていいんだ」と思えたといいますか。ブンブーン一家の在り方をアンドレが提示してくれたなと思っています。
斉藤:僕はそんなお二人を見て、めちゃくちゃぶっ飛んでいるな!と思っていました。若い人たちがここまでやるんだから自分も頑張ろう!と、気合いが入りましたね。
Editor's Note
鼎談中は和気あいあいとした雰囲気で、ブンブーン一家さながらの(?)仲の良さを感じさせてくれた三人。「もしブンブーン一家のスタンド能力を持ったら、どんなことに使いたい?」という話題では、「家の中で無くしがちなテレビのリモコンを引き寄せたい」と言う中島さんに対し、汐谷さんは「満員電車が苦手なので、磁力で山手線の外側に張り付きたい」、斉藤さんは「僕も満員電車が嫌なので、磁石の反発力を利用して周りの人を遠ざけたい」と回答。中島さんは思わず「満員電車で被ることあるの⁉」とツッコんでいた。
