『スティール・ボール・ラン ジョジョの奇妙な冒険』の敵キャラクターキャストリレーインタビュー第4弾。今回話を聞いたのは、第6話でジョニィとジャイロに襲い掛かった全身サイボーグのテロリスト、フリッツ・フォン・シュトロハイムを演じた伊丸岡 篤さんだ。
『戦闘潮流』でルドル・フォン・シュトロハイムを演じた伊丸岡さんだが、意外にも、「『スティール・ボール・ラン』のシュトロハイムは、絶対に自分ではないと思っていた」のだそう。はたして、その理由とは――?
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▲今回のサムネイル画像も、伊丸岡さんの“推しシーン”をセレクトしてもらった。「やられ顔も印象的でしたが、やっぱり登場シーンがイケメンでいいですね。『出ましたシュトロハイム! いったい何をしてくれるんだ!』という、期待値高めの登場でした(笑)。今作のシュトロハイムはデザイン的にもシュッとカッコよくなっていて。髪型がまた素敵です」(伊丸岡)
脳内でシュトロハイムに発破をかけられながら作り上げた芝居
――まずは、今作への出演が決まった際のお気持ちを教えてください。
伊丸岡:いやぁ、めちゃくちゃ嬉しかったですね。『スティール・ボール・ラン』のシュトロハイムは、絶対に自分ではないと思っていたので。といいますか、「『スティール・ボール・ラン』がアニメ化したら、絶対シュトロハイムは俺だ!」ということは、もちろんずっと思っていたんですよ。ところが、アニメ化決定の報が出て、メインキャストが発表されたときに、“スティーブン・スティール:三宅健太”とあって。愕然としましたよね。「スティーブン・スティールが(『スターダストクルセイダース』でモハメド・アヴドゥル役をやっていた)三宅さんだということは、(『スティール・ボール・ラン』第1話に登場するウルムド・アブドゥル)は違う人がやるんだ……ということは、シュトロハイムも俺じゃなくなる……ショック!」と。
それからしばらくはそう思い込んだまま悶々と過ごしていたのですが、数ヶ月後、シュトロハイム役のお仕事が来て。もう飛び上がるような気持ちでした。蓋を開けてみたら、ウルムド・アブドゥルは三宅さんが兼ね役でやっているし(笑)。憂鬱から一転、「やったー!」と張り切ってやらせていただきました。

――『戦闘潮流』でルドル・フォン・シュトロハイムとして出演されていた伊丸岡さん。当時の思い出を教えてください。
伊丸岡:とにかく必死でしたよね。シュトロハイムはシリーズの中でも人気のキャラクターですし、名言も多いじゃないですか。自意識過剰ではありますけど、「シュトロハイムがコケたら、みんなもコケる! 『ジョジョ』をコケさせるわけにはいかない!」と思って、毎回汗だくになりながら、喉のことも気にせず必死に臨んでいました。
でもそれは自分だけでなく、ほかのキャストもスタッフもみんな同じだったと思います。「『戦闘潮流』以降もアニメが続くかどうかは、俺たちにかかっている!」という意気込みが、現場全体にありましたね。みんな必死で、汗だくで。今思うと、それもすごく楽しかったです。

――『戦闘潮流』でルドル・フォン・シュトロハイムを演じた経験は、ご自身のキャリアのなかでどのような位置づけになっていますか?
伊丸岡:当時の私は40歳にして売れない声優で、まさに崖っぷちだったんですよ。このままフェードアウトしていくのかな……なんて思っていたところに、まさかシュトロハイム役に抜擢していただいて。本当に『ジョジョ』のおかげ、シュトロハイムのおかげで、今もこのお仕事をさせてもらえていると思っています。今でも「俺はシュトロハイムをやったんだ!」ということが自信になっているし、それがあるからどんな作品、どんな役にも臨むことができているんですよ。

――では、今作で演じられたフリッツ・フォン・シュトロハイムの印象はいかがでしたか? また、彼を演じる上で意識したことを教えてください。
伊丸岡:第一印象は正直、「ザコだなぁ」ですよね(笑)。ルドル・フォン・シュトロハイムをやりきった者としては、フリッツ・フォン・シュトロハイムなんて楽勝だ!と最初は思っていました。ところが、いざ向き合ってみると、とても難しかったです。
演じるにあたっては、同じシュトロハイムと言っても別キャラクターではあるので、ルドルとは違う方向でやるのもアリかな?とも考えました。けれど、伊丸岡がやるとなると、やっぱりあのシュトロハイム感を求める方も多いだろうと思って、変えずにやることにしたんです。ヘンに変えて、「伊丸岡、歳を取って落ち着いたな」と思われたくもなかったですしね(笑)。でも、あの登場時間の中でシュトロハイム感を出すのが、どうにも難しくて。練習していると、脳内でシュトロハイムが囁いてくるんですよ。「おい、それでいいのか? おれはそんなんじゃあないぞ?」って。まさか自分が過去に作り上げたシュトロハイムに苦しめられるとは思いませんでしたね(笑)。出番自体は短尺ですが、めちゃくちゃ練習して臨みました。

――演じていて印象に残ったシーンやセリフを教えてください。
伊丸岡:やられるときのセリフが、原作では“ぶばっ”だけなのですが、アニメの台本では“ぶばーーーーーーっ!”になっていて。なるほど、ここはシュトロハイム感をちょっと活かせるところだなと思い、そこは特に力を入れたところですね。アフレコのテストのときは、隣のマイクが(ジョニィ役の)坂田将吾さんだったのですが、全力で“ぶばーーーーーーっ!”をやったら、クスッと笑ってくれて、「よし! これはいけるかも!」と手応えを感じられました(笑)。このインタビューの前に完成映像を観させていただいたのですが、ちゃんと声が裏返っていて、伊丸岡シュトロハイムを少しは出せたかなと思いましたね。作画もすごく気合いが入っていましたし、これだけ派手にやられるようにしてくれたアニメスタッフの皆さんには本当に感謝しています。
ちなみに、台本上では、“うわっ”のあとに“ぶばーーーーーーっ!”となっていて、岩の球が体じゅうに直撃しているところは何にもセリフがなかったんですよ。でも、そこにも声が必要だと思って、巻き舌でアドリブを入れてみたんです。本編ではそれがちゃんと活かされていて、それも嬉しかったですね。

――フリッツ・フォン・シュトロハイムの《危険度》《カッコよさ》《かわいさ》《精神の強さ》《頭の良さ》《友達になりたい度》を、A(超スゴイ)~E(イマイチ)の5段階で評価して、パラメーターを作ってください。
伊丸岡:スタンド使いでもなく、復活するでもなく、言っちゃうとただのザコキャラでしたので(笑)、《危険度》はCですね。《カッコよさ》は、シュトロハイムの名前で、しかも1st STGAE第7位という登場の期待値が高かったので、B。その期待値高い登場をした直後に瞬殺でやられるのは愛嬌ということで、《かわいさ》はAにします。
《精神の強さ》は、精神的にものすごく強かったルドル・フォン・シュトロハイムと比べると真逆だなと思うので、Eを付けました。《頭の良さ》も、いきなり銃をぶっ放すという頭の良さを感じさせない攻撃を仕掛けてきたので、Eで。最後、《友達になりたい度》。ヤバいやつではありますが、出オチキャラというかわいげはあるので、Dにします。……と、なかなか散々なパラメーターになってしまいましたが、まぁかわいささえあればいいんじゃないかなと思います(笑)。

▲伊丸岡さん直筆パラメーター
――フリッツ・フォン・シュトロハイムは退場となりましたが、これからもレースは続きます。最後に、今後の展開を楽しみにしているファンの方へメッセージを。
伊丸岡:長いレースのなかで、今後もたくさんの魅力的なキャラクターが登場しますので、どうぞご期待ください。そして、ジョニィたちとともに最後までレースを完走してください。完走したあとは、たまーに第6話を見返してくれたら嬉しいです。
Editor's Note
今作には、『戦闘潮流』でジョセフ役だった杉田智和さんや、スピードワゴン役を務めた上田燿司さんも出演している。そのことについて二人と何か話したか伊丸岡さんに尋ねたところ、「上田さんとはお会いしたときに『ナレーションやってるんでしょ~』という話をしました(笑)。杉田さんとはまだ会えていないですが、ファニー・ヴァレンタインをどんなふうにやるのか、今から本編を観るのが楽しみですね」とのことだった。ちなみに、このインタビューはワーナー社内にあったジョセフとシーザー、カーズのぬいぐるみに見守られながら収録している。
